万引きする人、こんにちわ


 ITProに「「書店での万引き防止にぜひICタグ張り付けを」、大手書店など15社が表明」という記事が。
 「万引きによる書店のロス率は、1.41%に上ることが分かった。書店の平均利益率である0.6%の2倍以上に当たる。万引き撲滅のため、すぐにでも出版社に無線ICタグを付けてもらいたい」。大手の書店や新古書店15社で構成する「日本出版インフラセンターICタグ研究委員会書店部会」の村越武部会長(有隣堂顧問)は2008年3月26日に開いた記者会見で、こう強く要望した。 (ITPro)

 本屋の業態って自分がその仕事に従事しているわけでもないから全然知らなかったのだけれど、なんというか色々な意味でびっくりしました。
 そもそも平均利益率が0.6%って……。ものすごい少ないですよね。1000万円売り上げてやっと6万っすよ。本当か……(追記:この表現は間違ってました)。
 いくら本屋が返品が自由だと言っても大変そうな感じです。

 最近本屋の数も減ってるみたいだし、実際大変なんでしょうね。

 そしてその店の利益の2倍以上の金額が万引きされて消えていってるってのも驚きです。
 1冊万引きされたら20冊は売らないと元がとれない、というような話をどこかで読んだことがありますが、それは本当だったんですね。

 ものすごい大量に万引きをした、とかだとニュースになるわけだけれど、1冊盗んで捕まったぐらいじゃニュースにもならないから、ただの本屋で本を買う側の一人としてはホントにそんなにたくさん万引きって起きてるのか?と思ってしまいます。
 きっと書店の人は大変な問題で頭を悩ませているのだと思うのだけれど。

 私は多分かなりの高頻度で書店に行くけれど、万引きしてる人だとか、捕まってる瞬間とかを見たことがないからそんな風に思うのかもしれません。

 で、今回のこの記事ではRFIDで万引きを防ごう、という話なのですが、賛成したい部分もあるのだけれど、反対したい部分もあります。
 日本出版インフラセンターはICタグを活用して、「換金目的の万引き」を効率的に防げると考えている。書籍の万引きは70%強が新古書店での換金目的だとされている。書店と新古書店がICタグでタッグを組めば、これを防げる可能性がある。
 仕組みはこうだ。本の背表紙などに埋め込んだICタグに「書店で精算済み」かどうかを示すフラグを設ける。書店は書籍を入荷したときに、このフラグを「未清算」にセットする。新古書店は本を引き取るときに、このフラグをチェックする。「未清算」のままなら店頭から万引きされたものとみなして、引き取らない。換金できなければ万引きは減るはずだ。(ITPro)

 これでコスト負担が正規の購入する人にかかってこなければ賛成できるのだけれど、どうなんでしょ。
 一部のだめな人のために、数多くの優良な人に対して余計なお金を払えってのはやっぱりなんかおかしいんじゃないかなと思います。ICタグの価格が下がってきたと言ってもまだ数十円はするだろうし。

 本の価格が上がったら本を買わなくなる人も増えるだろうから余計に書店の首を絞めるだけなのではないでしょうか。

 後はそれがあることに油断して余計に犯罪が横行するって可能性もあるんじゃないかと。
 このシステムだと本をブックオフなんかに売るのが難しくなるだけで、万引き自体を難しくするわけでもないわけだから、何らかの手段でRFID内のフラグを書き換える手段が出てきたらおしまいなのではないかと。組織的な犯罪とか増えそうです。

 書籍・販売額はここ10年以上右肩下がりで、書店数も07年に約1万5800店舗と01年比べて2割も少なくなった。「万引きが書店経営を大きく悪化させている。書店がつぶれれば出版社もつぶれる。コストはかかるがICタグをぜひ付けてほしい」と村越部会長は強調する。日本出版インフラセンターは、09年度にICタグ適用を開始する目標を立てている。 (ITPro)

 この視点ってさっきも書きましたが一番大切な「本を買ってくれる善良な人々」のことがすっぱり抜け落ちているみたいでそこが心配です。
 これによって本のコストが高くなってしまうと、短期的には業績は回復しても、長期的にはよりいっそうの業績低下となってしまうような気が。

 なんていうかマラソンの選手がいて、体力がないっていう弱点がわかっているのに、必死にフォームを直そうとしているコーチ、っていう感じがします。

 かといってこのままほっといたら万引きが減るかというと、きっとそんなこともないんだろうし……。難しいものですなぁ。
 正直な気持ちからすると本の値段は上がって欲しくないし、万引きなんてする人もいなくなって欲しいのだけれど、そういう解決策はなにかないものですかねぇ。