ただし後ろ向きの。




 もっとお金が欲しい。
 もっとゆとりが欲しい。
 自分が好きな仕事を出来るようになりたい。
 もっと自分の能力を向上させたい

 私がビジネス書を買う理由は主に上記の、特に4番目の理由からです。
 同じように思っている人って結構いるのではないでしょうか。

 私は計画能力が基本的に皆無で、未来についての見積もりが全く出来ないので、「計画力をつける」とか「自分を管理する」、「続ける技術」という言葉に弱くて、こういった事について書いてあるライフハック(生活を豊かにするちょっとしたコツのようなもの)本をすぐに買ってしまいます。

 そういうのを買って、チャレンジするもどうにもこうにも続けられなかったり、自分に合わなかったりして結局は挫折しちゃうんです。そして自己嫌悪。


 そんな風に思っていたところにそういう「ライフハック」を「ライフハック(笑)」とばかりに笑い飛ばしてしまうような漫画に出会いました。

ふら・ふろ (1) (まんがタイムKRコミックス)


 それがこの「ふら・ふろです。

 私自身の考えから全体を察する(から間違ってるかもしれない)と、ライフハック関係の本を読む人というのは「明日は今日より能力を向上させよう」とか「明日はもっとラクに出来るように」とか「明日は今日よりもたくさん仕事をしよう」とかそういった動機があって読むんだと思います。

 ところがこの漫画は表紙の段階でそれを全否定です。

ふらふろ_表紙


明日のことは、考えない。


 これですからね。
 裏面がまたすごい

ふら・ふろ_裏面


チラシを広げて豪華な妄想。
表札ひとつで社長気分。
ツッコミは手作りハリセンで。
夢の中では食べ放題。
ハズレもアタリもティッシュ。
具がなくとも。パスタ。
500円のお賽銭。
おかえりそうめん生活。


 実は、上で「この本がライフハックに真っ向から対立している」と書いていますが、実はこの本はライフハック本です。

 ただし、「お金がない状態のままで楽しく暮らすライフハック」とか「やることなくても楽しく過ごすライフハック」とか、そういうある意味後ろ向きというか、現実に目を背けて今を楽しむ、そういう感じのライフハックです。
 「チラシを広げて豪華な妄想。」や「夢の中では食べ放題。」なんてのはその典型的なもので、知っている人も多いのではないでしょうか。

 そういった幸せそうな様子が描かれているのがこの漫画です。
 これを見るとなんだか必死に勉強したり本を読んで○○しよう、××しようって考えていながら、結局それをやることが出来なくてしょっちゅう自己嫌悪に陥っている自分を少し反省したくなってきます。

 そして、このある意味有名なコピペを思い出します。

メキシコの田舎町。海岸に小さなボートが停泊していた。
メキシコ人の漁師が小さな網に魚をとってきた。
その魚はなんとも生きがいい。それを見たアメリカ人旅行者は、
「すばらしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの」 と尋ねた。

すると漁師は
「そんなに長い時間じゃないよ」
と答えた。旅行者が
「もっと漁をしていたら、もっと魚が獲れたんだろうね。おしいなあ」
と言うと、
漁師は、自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だと言った。

「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」
と旅行者が聞くと、漁師は、
「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、
女房とシエスタして。 夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、
歌をうたって…ああ、これでもう一日終わりだね」

すると旅行者はまじめな顔で漁師に向かってこう言った。
「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、
きみにアドバイスしよう。いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、
漁をするべきだ。 それであまった魚は売る。
お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は上がり、儲けも増える。
その儲けで漁船を2隻、3隻と増やしていくんだ。やがて大漁船団ができるまでね。
そうしたら仲介人に魚を売るのはやめだ。
自前の水産品加工工場を建てて、そこに魚を入れる。
その頃にはきみはこのちっぽけな村を出てメキソコシティに引っ越し、
ロサンゼルス、ニューヨークへと進出していくだろう。
きみはマンハッタンのオフィスビルから企業の指揮をとるんだ」

漁師は尋ねた。
「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」
「二〇年、いやおそらく二五年でそこまでいくね」
「それからどうなるの」
「それから? そのときは本当にすごいことになるよ」
と旅行者はにんまりと笑い、
「今度は株を売却して、きみは億万長者になるのさ」
「それで?」
「そうしたら引退して、海岸近くの小さな村に住んで、
日が高くなるまでゆっくり寝て、 日中は釣りをしたり、
子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごして、
夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、
歌をうたって過ごすんだ。 どうだい。すばらしいだろう」


 この漫画は、漁師。
 何も新しい物を得なくても、幸せであることは出来るんじゃない?という漫画です。

 毎日の勉強、仕事、人間関係に疲れて「何で私、こんな事やってるんだろ?」と思っている人は読んでみると肩の力が抜けると思います。