目を覚ましたら部屋は暗くて、家には誰もいませんでした。
それからしばらく待ってみても誰も帰ってきません。
空がとても赤かったのだけは覚えています。その頃はまだベランダの前にマンションは建っておらず、太陽が沈むときちょうど布団を敷いた枕のあたりに夕日があたるのでした。
私は「みんなどこに行ってしまったんだろう」と思いました。「すぐに帰ってくるはず」とも思いました。
でもいつまで待っても誰も帰ってきません。
赤かった空はいつの間にか紫になり、そして黒くなりました。でもまだ帰ってこない。何で、何でママは帰ってこないの?
そこではっと気づきます。洗濯物の山が置いてあることに。
「洗濯物をたたむの手伝ってね」
ママが言った言葉です。その約束を私は守りませんでした。洗濯物をたたむのが嫌いだったんです。家族5人分、結構な量です。何故僕が一人でこれをたたまないとならないのか? そう思っていました。
「お手伝い出来ない子はしらないよ」
ママはそう言いました。それはママの口癖で、僕たちが言うことを聞かないとよくそう言ったものです。だから、それ以上の意味は無いと思っていたのです。
ママは帰ってこない。「知らないよ。お手伝い出来ない子は知らないよ……」その言葉が何度も頭に響きました。
そして、僕は泣きながら洗濯物をたたみ始めたのです。
「洗濯物をたためば、きっとママは帰ってきてくれる!」
それだけを信じて洗濯物をたたみました。出てくる涙は洗濯物のタオルでぬぐい、一心不乱に洗濯物をたたみます。
それが半ばほど過ぎた頃。玄関の方で鍵を開ける音が。ダッシュで玄関に向かうとそこにはママと姉弟の姿が。私はその場で堰をきったように大泣きをしました。と、同時にすごいことを学びました。
「洗濯物をたためば、ママは帰ってきてくれる!」
これが世の真理で、ママがいなくなっても洗濯物さえたためば帰ってきてくれる!そう頭にすり込まれたのです。要するに「良い子になれば帰ってきてくれるはず!」ということです。
これは、私が幼かった頃にあった実際の出来事(ただ文章は適当に書いてる)ですが、こういった経験はたいていの人にはあったんじゃないかと思います。
実際は単に秋〜冬の夕方頃に私が昼寝(夕寝?)をしてしまったから私を置いて夕飯の買い物に小一時間出かけていただけです。だから実際には1時間も経ってません。でも幼い子供心には一人でいる時間がとてつもなく長い時間に感じたんだと思います。
うちの家は電気はスイッチじゃなくてひもを引っ張る奴で、それを付けるには私には身長が足りなかったものだから、暗い中を一人で待っていたのです。
そんな中から得た結論は「母親が帰ってこないのは私が母親の言いつけを守らない『悪い子』だからであり、『良い子』になれば帰ってきてくれる」ということです。
何でそんな話を書いたかと言うと、先日紹介した「Fellows!」に載っている「Milk and Water」という作品がまさしく今挙げた話のような作品で、この作品によってそう言うことがあった、と私の記憶を喚起したからです。

私の場合は洗濯物と母親だったのだけれど、この漫画の場合は牛乳パックの口を開けっ放しにする子供と、それを注意する父親の話です。

怒られても「いまやるー」なんていかにも子供らしい、怒られたからやる、というような態度です。
で、まぁこのあと色々あって、そこは思いっきりネタバレなので書きませんが、ある日、いつまで待っていても父親が家に帰ってきません。

ひとしきり待ったあと、はっと気づいて冷蔵庫を開けます。そこには口が開きっぱなしの牛乳が。

慌ててそれを閉じます。
この場合も私が挙げた話と同様に父親が帰ってこないことと牛乳パックの口を開けっぱなしにしていることは何の関係も無いんですね。でも、子供にはそれがわかりません。直近にとった自分の悪い(親に怒られるような)行動が原因で現在の状況を引き起こしてしまったのだと考えるのです。だからその原因を排除する。
悪いことをしたから帰ってこないわけで、それをちゃんとすれば当然帰ってくるはずだ、という理論です。要するにさっきも書きましたが「良い子になれば帰ってきてくれるはず!」ということです。

父親が帰ってきて泣く所も私にそっくり。どうして子供ってこういう風に丸まったりするんですかね。私もよくやった記憶があります。胎内に居たときの格好だから落ち着くのかな。
この漫画は冒頭で私が書いたような昔の記憶を思い出させて呉れる漫画です。実際は漫画の方が私の体験よりはドラマチックでしたが、私は漫画を読みながら自分の記憶も読む(思い返す)ことができました。
ってなわけでそういったノスタルジックな気分を味わいたい方は是非どうぞ。

Fellows! 2008-OCTOBER volume 1 (BEAM COMIX)
それからしばらく待ってみても誰も帰ってきません。
空がとても赤かったのだけは覚えています。その頃はまだベランダの前にマンションは建っておらず、太陽が沈むときちょうど布団を敷いた枕のあたりに夕日があたるのでした。
私は「みんなどこに行ってしまったんだろう」と思いました。「すぐに帰ってくるはず」とも思いました。
でもいつまで待っても誰も帰ってきません。
赤かった空はいつの間にか紫になり、そして黒くなりました。でもまだ帰ってこない。何で、何でママは帰ってこないの?
そこではっと気づきます。洗濯物の山が置いてあることに。
「洗濯物をたたむの手伝ってね」
ママが言った言葉です。その約束を私は守りませんでした。洗濯物をたたむのが嫌いだったんです。家族5人分、結構な量です。何故僕が一人でこれをたたまないとならないのか? そう思っていました。
「お手伝い出来ない子はしらないよ」
ママはそう言いました。それはママの口癖で、僕たちが言うことを聞かないとよくそう言ったものです。だから、それ以上の意味は無いと思っていたのです。
ママは帰ってこない。「知らないよ。お手伝い出来ない子は知らないよ……」その言葉が何度も頭に響きました。
そして、僕は泣きながら洗濯物をたたみ始めたのです。
「洗濯物をたためば、きっとママは帰ってきてくれる!」
それだけを信じて洗濯物をたたみました。出てくる涙は洗濯物のタオルでぬぐい、一心不乱に洗濯物をたたみます。
それが半ばほど過ぎた頃。玄関の方で鍵を開ける音が。ダッシュで玄関に向かうとそこにはママと姉弟の姿が。私はその場で堰をきったように大泣きをしました。と、同時にすごいことを学びました。
「洗濯物をたためば、ママは帰ってきてくれる!」
これが世の真理で、ママがいなくなっても洗濯物さえたためば帰ってきてくれる!そう頭にすり込まれたのです。要するに「良い子になれば帰ってきてくれるはず!」ということです。
これは、私が幼かった頃にあった実際の出来事(ただ文章は適当に書いてる)ですが、こういった経験はたいていの人にはあったんじゃないかと思います。
実際は単に秋〜冬の夕方頃に私が昼寝(夕寝?)をしてしまったから私を置いて夕飯の買い物に小一時間出かけていただけです。だから実際には1時間も経ってません。でも幼い子供心には一人でいる時間がとてつもなく長い時間に感じたんだと思います。
うちの家は電気はスイッチじゃなくてひもを引っ張る奴で、それを付けるには私には身長が足りなかったものだから、暗い中を一人で待っていたのです。
そんな中から得た結論は「母親が帰ってこないのは私が母親の言いつけを守らない『悪い子』だからであり、『良い子』になれば帰ってきてくれる」ということです。
何でそんな話を書いたかと言うと、先日紹介した「Fellows!」に載っている「Milk and Water」という作品がまさしく今挙げた話のような作品で、この作品によってそう言うことがあった、と私の記憶を喚起したからです。
私の場合は洗濯物と母親だったのだけれど、この漫画の場合は牛乳パックの口を開けっ放しにする子供と、それを注意する父親の話です。
怒られても「いまやるー」なんていかにも子供らしい、怒られたからやる、というような態度です。
で、まぁこのあと色々あって、そこは思いっきりネタバレなので書きませんが、ある日、いつまで待っていても父親が家に帰ってきません。
ひとしきり待ったあと、はっと気づいて冷蔵庫を開けます。そこには口が開きっぱなしの牛乳が。
慌ててそれを閉じます。
この場合も私が挙げた話と同様に父親が帰ってこないことと牛乳パックの口を開けっぱなしにしていることは何の関係も無いんですね。でも、子供にはそれがわかりません。直近にとった自分の悪い(親に怒られるような)行動が原因で現在の状況を引き起こしてしまったのだと考えるのです。だからその原因を排除する。
悪いことをしたから帰ってこないわけで、それをちゃんとすれば当然帰ってくるはずだ、という理論です。要するにさっきも書きましたが「良い子になれば帰ってきてくれるはず!」ということです。
父親が帰ってきて泣く所も私にそっくり。どうして子供ってこういう風に丸まったりするんですかね。私もよくやった記憶があります。胎内に居たときの格好だから落ち着くのかな。
この漫画は冒頭で私が書いたような昔の記憶を思い出させて呉れる漫画です。実際は漫画の方が私の体験よりはドラマチックでしたが、私は漫画を読みながら自分の記憶も読む(思い返す)ことができました。
ってなわけでそういったノスタルジックな気分を味わいたい方は是非どうぞ。

Fellows! 2008-OCTOBER volume 1 (BEAM COMIX)


